宇宙問題への人文・社会科学からのアプローチ

研究代表者:木下冨雄

この報告書の内容は、大きく分けて4つの内容からできている。第1は序論であり、本書の目的と、そこで扱う宇宙の空間的・時間的バウンダリーを示している。第2は宇宙空間の中で人類の価値観や認識形態、それに行動がどう変容するかについて、哲学、文学、宗教学、心理学などの立場から論じている。第3は宇宙で人間がどのように生活するかについて、医学、心理学、それにさまざまな工学の知見をもとに、その技術的可能性について予測している。第4は宇宙のガバナンスシステムの構築について、これまでの法制度や政治状況、それにビジネスも考慮に入れながら、どのような制度設計が可能であるかを国際法や国際政治学の立場から模索している。(本書「はじめに」より)

○もくじ

はじめに
序論
 第1章 私たちのプロジェクトの目的
   1 人類の宇宙への進出
   2 近くなった宇宙との距離
   3 地球以外の宇宙空間における「小社会」の成立
   4 人文・社会科学からのアプローチの必要性
 第2章 このプロジェクトで扱う宇宙の範囲
   1 空間的なバウンダリー
   2 時間的なバウンダリー
   3 思考シミュレーション

第1部 宇宙は人類の価値観をどのように変えるか
 第3章 宇宙が呼び起こすイマジネーションと創造の世界
   1 未知の世界へのあこがれ
   2 あこがれと好奇心が生み出す知的世界
   3 月への空想旅行記、および思考による時間・空間への旅
   4 思想史における宇宙
   5 市民生活に浸透した宇宙
 第4章 宇宙への進出は人類に何をもたらすか
   1 地球史の中の人類から宇宙史の中の人類へ
   2 基準系の喪失と相対化の世界
   3 相対化された世界は何を生み出すか
   4 微小重力の世界
   5 宗教世界へのインパクト
   6 絶対世界と相対世界の相克
   7 それにしてもなぜ宇宙か

第2部 宇宙で人間はどのように生活するのか
 第5章 人類の宇宙進出の流れと有人宇宙活動
   1 人類の宇宙進出の流れ
   2 宇宙環境利用の世界の広がり
   3 月開発利用への流れ
   4 地球生存圏の将来の姿
 第6章 人間の宇宙滞在と地球外天体での居住を可能とする技術開発
   1 有人宇宙技術の開発
   2 宇宙空間での人間の居住
   3 有人宇宙活動に必要な有人宇宙システム
   4 人間とロボットの協調
 第7章 人間が宇宙に居住するための医学・精神心理の課題
   1 地球周回軌道に長期滞在するための医学・精神心理の課題
   2 月や火星の滞在に向けた医学・精神心理のチャレンジ
   3 地上において参考となる類似環境データ、シミュレーション、
    および研究成果

第3部 宇宙のガバナンスをどう構築するか
 第8章 宇宙空間ガバナンスの現状
   1 宇宙ガバナンスの法制度
   2 宇宙開発を巡る政治的状況
   3 民間有人飛行がもたらすもの
   4 グローバルガバナンスのあり方はどう変わっていくのか
 第9章 月惑星探査開発制度の現状
   1 天体の領有権問題
   2 資源の所有権問題
   3 月の軍事利用に関する問題
 第10章 宇宙旅行・宇宙ビジネスを巡る制度の現状と課題
   1 宇宙旅行と明日の国際法
   2 宇宙ビジネスと法的対応の現状
 第11章 宇宙ガバナンスの将来
   1 宇宙空間のガバナンス
   2 国家による資源探査と領有問題
   3 月協定の問題点
   4 ガバナンスのメカニズム不在の中での競争的月資源開発
   5 まとめ

資料
 1 宇宙問題に関する世論調査(大学生とJAXA職員を対象として)
 2 対話記録〜人間の宇宙への進出をめぐって〜
 3 研究会開催記録
 4 中川久定講演録

執筆者(五十音順):

青木 節子  慶応義塾大学総合政策学部 教授(8章1〜4・9章1〜3)
井口 洋夫  宇宙航空研究開発機構 顧問 / 東京大学 名誉教授(5章2)
内冨 素子  宇宙航空研究開発機構 産学官連携部連携推進グループ(8章1〜4 10章2)
木下 冨雄  国際高等研究所フェロー / 京都大学 名誉教授(はじめに 序.1.1〜4 序.2.1〜3 3章1, 2, 5 4章1〜7)
小林 道夫  京都大学文学研究科 教授(3章4)
篠原 真毅  京都大学大学院工学研究科 准教授(5章4)
清水 順一郎  宇宙航空研究開発機構 有人宇宙環境利用プログラムグループ宇宙環境利用センター 参与(5章2, 3)
鈴木 一人  北海道大学公共政策大学院 准教授(8章1〜4 11章1〜5)
立花 正一  宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部 技術領域総括 兼 宇宙飛行士健康管理グループ長(7章1〜3)
中川 久定  国際高等研究所 副所長 / 京都大学 名誉教授(3章3 資料中川久定講演録)
中谷 和弘  東京大学大学院法学政治学研究科 教授(8章1〜4 10章1)
松本 紘  京都大学 総長(5章4)
的川 泰宣  宇宙航空研究開発機構 名誉教授・技術参与(5章1)
山口 孝夫  宇宙航空研究開発機構 有人宇宙技術部 有人宇宙技術開発グループ長(6章1〜4)




0802 430頁 容量:−MB
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