出版物詳細カード
文 献No. S-2
著者名 木村 資生
タイトル名 進化遺伝学から見た人類の過去と未来(Lecture)
内 容について ※本文の最初の文章を掲載いたします。
集団遺伝学の研究
 私は、長い間、もう40年余りになりますが、遺伝学の一分科である集団遺伝学、英語ではpopulation geneticsという分野の研究を続けてきたものです。
 普通、遺伝学といいますと、固体を単位に親から子へ遺伝子がどのように伝わるか、あるいは発生の過程の受精卵から生体ができる過程でどういう遺伝子が働 いてどんな部分ができてくるかということを研究するわけですが、集団遺伝学というのは、生物の集団を対象にする分野です。ただし、生物の集団といっても、 生態学のようにいろんな種類の生物の間の関係をしらべるというのではなく、有性繁殖で結ばれたいわば繁殖社会を扱うものです。そういうものの遺伝的構造が どうなっているか、どのように変化してきたか、そのしくみはどうか、といったことを研究する学問です。
 集団遺伝学の究極の目的は、生物進化のしくみを解明することで、進化遺伝学の基礎になる分野だと思います。こういう進化の研究は、金儲けはおろか、実用 にもほとんどなりません。しかし、「人とは何か」という、哲学的な問題を考える上では、自然科学の中で非常に重要な分野だと思います。
 人類はもちろん、この地球上で長い時間かかって、下等な生物から進化してできてきたもので、人類の進化を逆に辿っていきますと、40億年ぐらい前に最初 にでてきた自己繁殖分子、すなわち生命の起源に辿りつくわけです。地球そのものも太陽系の一員で、遠い昔にできたもので、太陽系もまた宇宙の一員として誕 生したものです。
 結局、どんどん辿っていけば宇宙のはじまりに行きつくわけです。みなさんご存じのように、このごろ宇宙論が非常に進歩してきました。私はもちろん素人で すが、生物進化ともつながりがあるので、宇宙論の通俗的な記事や書物を読んできました。このごろ宇宙論が革命的な進歩をして、ホーキングの『A Brief History of Time』という本が出て、私もすぐに原書で読みましたが、宇宙論が非常にマスコミに受け、ブームになっているようです。
 とにかく、きょうは「人類の過去と未来」という題で、私なりに世界観も含めお話ししたいと思います。
頁 数 48頁
書籍版
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