出版物詳細カード
文 献No. S-3
著者名 中根 千枝
タイトル名 中国とインド −社会人類学の観点から−(Lecture)
内 容について ※本文の最初の文章を掲載いたします。
はじめに
 高等研は学術、技術、産業に関するばかりでなく、文化をも加味した新しい研究所となるとうかがっております。学術と申しますと、なんといっても自然科学 が王者でございます。非常にスタンダードの高い研究所となりますと、ますます自然科学中心になるのが自然のなり行きかと思います。しかし、文化を考慮する ことは今、日本だけでなく、いろいろな専門分野で強調されております。その文化的、社会的な要素を加味する、あるいはそういうアングルをもちながら研究を したり、新しい仕事を展開することは、言うに易く、実行はなかなか難しいわけでございます。
 文化といいますと、いわゆる文化的という意味がありますが、文化人類学では、あらゆるものが文化である、たとえば研究所も文化であるし、政治、経済、家 族なども文化だというように、人類の作ったものすべてが文化だという見方をしております。
 ここではそのどちらにとらわれることもなく、社会科学のアプローチとはどういうものかを理解していただくことを念頭におきながら、中国とインドについて お話ししてみたいと思います。
 中国とインドは、それぞれ偉大な文明を築いた大国であり、現在、世界でもその版図、そして人口からみてこんなに大きな国はないわけです。インドと中国を 理解するということは、世界全体の理解にもつながります。また、この高等研が、アメリカやヨーロッパではなく、日本にできるということに、非常に意味があ るのですが、その関連において、日本の位置づけということも関係してまいります。
 日本の位置づけを考えるうえで、従来は西欧と比較したり、また中国文明を長く受容してきたために、中国との関係が重要視されてきました。したがって日本 人が世界を考える場合に、西欧と中国は大きく位置づけられるのですが、その間のインドというと、お釈迦様の国とか、あるいはこのごろでは非常に貧しい人び との多い国という見方がなされております。今日は新しい視点を提示しながら、この二つの国について、お話ししてまいりたいと思います。
 中国とインドはどちらが古いとかいえないほど古く、それぞれに特長ある偉大な文明を築いた国です。みなさまのインドに対するイメージと中国に対するイ メージとでは全然違うと思うのですが、不思議なことにこの二つの社会は驚くほど共通性を持っています。
頁 数 36頁
書籍版
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